新井素子さんは、SFに関する作品を多く執筆しており、「SF界のプリンセス」と言われている小説家です。
彼女の作品は、独特な口語体で書かれているため、読みなれない方にとっては違和感を覚えるかもしれません。
しかし、読み進めていくと、きっと新井素子さんの世界に入り込んでしまっていると思います。
今回は、そんな彼女の「ひとめあなたに…」を読んだ感想やおすすめしたい人、そしてその理由についてご紹介します!
最後までゆっくりとご覧くださいね。
新井素子の「ひとめあなたに…」を読んだ感想について
早速、新井素子さんの「ひとめあなたに…」を読んだ感想をご紹介したいと思います。
「来週地球が滅びるとしたら、あなたはどうやって過ごしますか?」というテーマで一見恋愛小説とはかけ離れた題材のように感じるSFファンタジーのような作品ですが、この限られた時間の中で女子大生の主人公は最愛の恋人から、突然の別れを告げられた物語から始まります。
突然の恋人から別れを告げられ、またその恋人から病気で余命も短いことも知らされ、おまけに一週間後地球に隕石がぶつかり人類が滅亡するという、なんとも情報量が多すぎる題材。
主人公の女子大生がこの問題を抱えながら、人類がくるっていく中、隕石がぶつかる前に最愛の恋人の再会するため、練馬から鎌倉まで交通が麻痺した中、徒歩で会いに行きます。
その道中に出会っていく人々に焦点を当てたオムニバスストーリーがなんとも人間味溢れていて、引き込まれるものがあります。
地球が滅亡するとわかった人類がどのような行動をとるのか、愛する人のためにどう生きるのか、また主人公の女子大生はまた再び恋人に会えるのか。
人間の細かい心理にも焦点も当て、「実際に地球が滅亡するとなったら取り乱してとんでもないことをする人もいるんだろうな」と思うようなこともリアルに時にはグロテスクに表現されています。
ですが、それは愛があってのもの。
一般的な恋愛小説ではなく、少し角度を変えた究極の恋愛小説だと思います。
新井素子のプロフィールや経歴について
ここでは、新井素子さんのプロフィールや経歴についてご紹介します。
プロフィールについて
- 名前:新井素子
- 本名:手嶋素子(結婚後)
- 年齢:64歳(2024年9月現在)
- 生年月日:1960年8月8日
- 出身:東京都練馬区
- 身長:不明
- 血液型:不明
経歴について
両祖父、両親が共に講談社に勤めており、実家には常に大量の本があったため、幼い頃から多くの本に接して育ちます。
1977年、東京都立井草高等学校2年生のときに、第1回奇想天外SF新人賞に応募した『あたしの中の……』が佳作入選。
審査員の星新一氏が絶賛し最優秀作に推したが、小松左京や筒井康隆らが目新しい文体に違和感を覚え反対したため佳作となったそうです。
星氏は入選決定後に、新井素子さんの父が東京大学農学部での同級生だったことを知ったそうで、新井素子さんも星氏のファンであり、初めて読んだSFが星氏の『妖精配給会社』だったとか(星の著書「未来いそっぷ」の解説文も書いている)。
そして、高校2年生という若さでの受賞及びデビューは文学界にも衝撃を与え、『ふぁんろーど』の特集などで「SF界のプリンセス」と称されます。
北野勇作氏や久美沙織氏ら同世代の作家に強い影響を与えたと言われています。
その後、立教大学文学部ドイツ文学科に在籍しながら作家活動を続け、1981年に『グリーン・レクイエム』で第12回星雲賞日本短編部門を受賞し、その翌年の1982年には『ネプチューン』で第13回星雲賞日本短編部門を受賞します。
さらに、1999年には『チグリスとユーフラテス』で第20回日本SF大賞も受賞するなど活躍されています。
新井素子の主な代表作品
新井素子さんの主な代表作品を今回の「ひとめあなたに…」以外に3つご紹介します。
『星へ行く船』は、宇宙がテーマになっている作品。
地球以外の惑星に人間が住め、地球に住んでいた主人公がある出来事をきっかけに家出をし、火星に行くところからストーリーが始まります。読み進めていくと、素子ワールドに引き込まれる作品です。
『グリーン・レクイエム』は、映画化された作品。
異星人と地球人のラブストーリーで初々しい主人公カップルが優しい文体で描かれているのですが、なんともロマンチックで悲しい物語となっています。
『ネプチューン』は、1982年の星雲賞日本短篇部門受賞作品。
三人の男女が汚れた海で女の子を拾うが、記憶がない。まるで赤ちゃんのようなその女の子に「ネプチューン」と名前を付けて、四人の奇妙な生活が始まります。
ぜひ、参考にして頂けたらと思います。
新井素子の「ひとめあなたに…」はこんな人におすすめ!
最後に、新井素子さんの「ひとめあなたに…」をおすすめしたい人や理由についてご紹介します。
彼女の作品は発想が面白く、文章もシャレがきいていてコミカルでとても読みやすいです。
面白さの中にもベタな恋愛要素だけではなくS Fファンタジーの作品も多く、また表現も細かいので小説を読んでいくと目の前に物語が映像化され、20年前に読んだ作品でさえもすぐに思い出せる印象深い作品が多いです。
「活字が苦手、小説を読むのが苦手、活字だけでは頭の中で想像ができない。」という人にはピッタリな作品かもしれません。
実際、わたしもこの作品は高校生の頃に初めて読んだのですが、当時漫画しか読まなかったのに、この小説は最後まで飽きずに読み進めることができました。
一度読み始めると結末がどうなってしまうのか読みたくて仕方なくなりますよ。
性別年齢問わず、色々な人に読んでほしい作品です。
まとめ
今回は、新井素子さんの「ひとめあなたに…」をご紹介しました。
新井素子さんの小説は、緻密な世界観や深い哲学的思考が特徴的であるとされています。
彼女の作品を読むことで、SFに興味を持つ人にとっては、新しい世界観を体験することができるかもしれません。
ぜひ、興味を持った方は一度手に取って読んで頂けたらと思います!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。