皆さんは「小松左京」という小説家をご存じでしょうか?
日本を代表するSF作家の一人として、彼の作品は映画化やドラマ化されているものも多く、一度は目にしたことがあるかもしれませんね。
今回はその中から「華やかな兵器」という作品をピックアップしてみました。
「読書の時間をもっと楽しみたい」という方や「読書に挑戦したいけど、どんな本を読んだらよいか分からない」という方に是非参考にして頂きたいと思います。
小松左京「華やかな兵器」を読んだ感想について
まずは、今回の「華やかな兵器」を読んだ感想をご紹介します。
ストーリーの舞台となるのは地球人と太陽系外知的生命体との、ファーストコンタクトが実現した22世紀の半ば。
自ら「知的生命体」名乗っているからにはさぞかしIQが高くて、紳士的なたたずまいであろうと期待してしまいますよね。
太陽系から1番ちかい恒星ケンタウルス座から遥々やって来たのはリュテイン星人、皮膚の色と体型を除いてはほとんど人類と変わりはありません。
この時代の地球上では内乱が一掃されて連邦大統領によって協調が保たれているという設定ですが、21世紀の世界情勢を鑑みるといささか楽観主義のような気もします。
この若くて経験不足な大統領によって歓迎されるリュテイン星人たちですが、巨大なスペースシップで海王星の周辺を飛び回るなど何やら良からぬことを企んでいるようで・・・。
領海侵犯ならぬ領宙侵犯、海洋進出ならぬ銀河進出、排他的経済水域ならぬ星域ディフェンスライン… このところ覇権主義的な動きを強めている某国と、70年以上に渡って保持してきた専守防衛が揺らいでいる我が国との関係性に重ねてしまいました。
主人公は太陽系防衛軍のパトロール隊員、いち早く異星人の不穏な動きに察知した切れ者の青年。
愛すべき母星を守るために奮闘する彼の姿に胸が熱くなり、ラストで明かされる美しき生物兵器の正体も衝撃的ですよ。
小松左京のプロフィールや経歴について
ここでは小松左京さんのプロフィールや経歴についてご紹介します。
プロフィールについて
- 名前:小松左京
- 本名:小松実
- 年齢:80歳没
- 生年月日:1931年1月28日
- 出身:大阪市西船場
- 身長:167センチ
- 血液型:O型
経歴について
貴重な少年時代を学徒動員という過酷な状況下で浪費したという著者は、敗戦後の1949年に京都大学の文学部に入学しました。
自らの戦争体験をもとに「最初の悔恨」や「握りめし」などを執筆、いずれもリアリズムに徹した小編で出版には至りません。
転機が訪れたのはお笑い芸人の台本作家をしていた28歳の時、アメリカのSF小説家ロバート・シェイクリに感銘を受けて一気に書き上げたのが「地には平和を」。
この作品が直木賞にノミネートされたことからデビューが決まって、1973年発表「日本沈没」は400万部を超える空前絶後のヒット作に。
阪神淡路大震災の復興を大阪人としてサポートしつつ、東日本大震災が発生した2011年にこの世を去ります。
小松左京の主な代表作品について
小松左京さんの主な代表作品についてご紹介します。
- 復活の日
- 首都消失
- 果しなき流れの果に
人類の滅亡と復活をテーマにした「復活の日」、そして政府が機能不全に陥った日本の行く末を描く「首都消失」は、どちらも共に映画化された作品ですので、知っている方も多いでしょう。
メッセージ性の強い作品ですし、読んでみるとその緊迫感が伝わってきます。
また「果しなき流れの果に」は、時空を超えた壮大な戦いを描く長編SF小説となっていて、「宇宙」や「時の流れ」がテーマになっています。
どの作品も小松左京さんらしさが満載ですので、是非読んで欲しいですね!
小松左京「華やかな兵器」はこんな人におすすめ!
最後に、小松左京さんの「華やかな兵器」をおすすめしたい理由をご紹介しましょう。
この国が軍国主義へと一直線に進んでいた昭和の初めに誕生したという小松左京さんは、空腹と暴力に支配された幼少期を過ごしていたそうです。
世の中全体がお祭りムードに包まれて浮かれていた1980年代に青春時代を謳歌した、バブル世代の皆さんには是非とも読んでいただきたい1冊です。
執筆当時は、はるか遠い未来の出来事を描きつつも、小松さんの目はしっかりと現実社会に生きるごく普通の人々の日常生活へと向けられています。
当たり前のように享受してきた飽食と物質的な豊かさに格差が生じて、さらには戦後の民主主義にも暗い陰が射し込んでいるかのようなこのご時世。
本作に込められている壮大なテーマ、SF界の巨匠が投げ掛けるメッセージに是非とも触れてみてください。
まとめ
今回は、小松左京さんの「華やかな兵器」を読んだ感想やおすすめしたい理由をご紹介しました。
「日本沈没」や「首都消失」など映画化されたり、ドラマ化されている作品も多く、日本を代表するSF作家の小松左京さん。
彼の小説を読むと分かりますが、今のご時世を予見していたかのようなメッセージ性の強い作品が多く、どんどん引き込まれてしまいます。
是非とも皆さんにも読んで頂きたいですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。