山本文緒さんの小説は、切なくて苦しく、最後には強い女性を描いている作品が多いと言われています。
また、女性心理を深く、そして物悲しく書かれた心理描写で大人の女性読者を釘付けにしました。
『パイナップルの彼方』や『恋愛中毒』など映像化された作品も多くあります。
今回はそんな山本文緒さんの「群青の夜の羽毛布」を読んだ感想やおすすめ理由をご紹介したいと思います!
最後までゆっくりとご覧くださいね。
山本文緒「群青の夜の羽毛布」を読んだ感想について
早速ですが、山本文緒さんの「群青の夜の羽毛布」を読んだ感想をご紹介します。
物語の幕開けは、診察室らしき場所から始まりますが、男性患者と心療内科の女医とおぼしきふたりでカウンセリングが行われています。
この男女の名前も素性も明かされぬまま、何となくすっきりしないままでヒロインの毬谷さとるが登場。
24歳と恋も仕事も謳歌するにはピッタリなお年頃なのに、「家事手伝い」を名目に実家に引きこもりがちなのは勿体無いです。
そんな彼女を外の世界へと連れ出すべく奮闘するのが伊東鉄男、講義やレポートよりも合コンとバイトに夢中な大学生といった印象です。
さぞかしロマンチックな出会いかと思いきや、鉄男のバイト先のスーパーでさとるが貧血を起こしただけでドラマも色気もありません。
スレンダーで清楚系なさとるに対して、妹のみつるはグラマラスで肉食系。
姉妹のあいだで揺れ動く鉄男くんは微笑ましいですが、まさか彼女たちのお母さんにまで恋心を抱いてしまうとは…。
毬谷一家の住まいは小高い丘の中腹にある一軒家、斜面に張り付くような外観が心に残ります。
母、姉、妹、とくれば大黒柱が姿を見せるはずなのに一向に現れないのは何故?
仕事が忙しいのか、単身赴任中なのか、離婚したのか、謎は深まるばかり。
恋愛小説としてはもちろん、この一家がひた隠しにする秘密を解き明かす推理物としても楽しめました。
山本文緒のプロフィールや経歴について
ここでは、山本文緒さんのプロフィールや経歴についてご紹介します。
プロフィールにについて
- 名前:山本文緒
- 本名:大村暁美
- 年齢:58歳没(2021年10月13日)
- 生年月日:1962年11月13日
- 出身:横浜市
- 身長:150センチ
- 血液型:AB型
経歴について
地元の神奈川大学経済学部に進学した山本文緒さん、在学中は落語サークルに所属して「則巻家あられ」の芸名で高座にも上がったことがあります。
卒業後は実家を出て都内でひとり暮らし、就職先は日本橋にある証券経済研究所です。
OL生活の傍らでジュニア向けの小説を発表、専業作家に転身した8年後には「プラナリア」で直木賞を受賞。
順風満帆な執筆活動とは裏腹にプライベートでは2度の結婚と別居、自身も鬱病をわずらうなど低迷期に。
心機一転のために長野県の別荘地に引っ越した矢先に膵臓癌を発症、2021年にこの世を去りました。
山本文緒の主な代表作品
山本文緒さんの主な代表作品をご紹介します。
- チェリーブラッサム
- ブルーもしくはブルー
- パイナップルの彼方
元々は少女小説家としてデビューしていますが、山本文緒さんのルーツとも言える傑作長編が「チェリーブラッサム」です。
その後、一般文芸へシフトし、様々な作品を書かれていますが、代表作として「ブルーもしくはブルー」「パイナップルの彼方」を挙げたいと思います。
特に「パイナップルの彼方」は登場人物に共感したり、一緒に悩んだり、とてものめり込んで読めたという声が多い作品です。
山本文緒「群青の夜の羽毛布」はこんな人におすすめ!
最後に山本文緒さんの「群青の夜の羽毛布」をおすすめしたい人を挙げたいと思います。
気になっている異性に対して今一歩踏み込んでいけない、今どきの草食系男子の皆さんは是非とも手に取ってみて下さい。
優柔不断なくせに女性のストライクゾーンに関しては異様に広いという、伊東鉄男に感情移入しながら読んでみるといいかもしれません。
大学4年生で同世代が就職活動に目の色を変えている中で、なぜ彼だけが遊び歩いているのかも気になってくるでしょう。
そんな鉄男と交際を通して少しずつ自分の視野を広げていくのが毬谷さとる、いつまでも娘を支配下におきたい母。
いまでこそ「毒母」という言葉が広く世の中に認知されていますが、この本の初版が出版されたのは1995年。
著者の先見の明が光る1冊であるために、親子関係に悩んでいる女性の皆さんにもお薦めですよ。
まとめ
今回は、山本文緒さんの「群青の夜の羽毛布」を読んだ感想や、おすすめしたい人についてまとめてみました。
山本文緒さんは、女性の心理を深く描いた作品が多く、切なくて苦しく、最後には強い女性像を描いた作品が多いです。
また、山本文緒さんの作品は映像化されることが多く、今回ご紹介した「群青の夜の羽毛布」も映画化されています。
小説として読むだけでなく、映画もぜひ見てもらいたいですね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。